
こんにちは!ブルです!
今日は
海上衝突予防法の
第2章「航法」の
第1節「あらゆる視界の状態における船舶の航法」にある
第9条「狭い水道等」
について勉強していきます。
第2章 「航法」
・第1節 あらゆる視界の状態における船舶の航法(第4~10条)←ここ!
・第2節 互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法(第11~18条)
・第3節 視界制限状態における船舶の航法(第19条)
第3章 「灯火及び形象物」(第20条~31条)
第4章 「音響信号及び発光信号」(第32~37条)
第5章 「補足」(第38~42条)
あらゆる視界の状態における船舶の航法も終盤に差し掛かってきました。
これまでは衝突を避けるための本質的、根本的な部分でした。
この第9条からは少し雰囲気が変わって、
「ここを通りなさい」というような具体例が少し出てきます。
狭い水道等を走る時、広い海域と比べると距離も時間も余裕が少なくなります。
基本的ルールを頭に入れ、瞬時に判断できるようにしておきましょう。
それでははりきっていきましょう!
もくじ
狭い水道等は右側航行!
第9条 狭い水道又は航路筋(以下「狭い水道等」という。)をこれに沿って航行する船舶は、安全であり、かつ、実行に適する限り、狭い水道等の右側端に寄って航行しなければならない。ただし、次条第2項の規定の適用がある場合は、この限りでない。
狭い水道等(=狭い水道or航路筋)に沿って航行する船は、右側端に寄って航行しなければいけません。
船は左舷対左舷(自船左弦側と相手船左弦側がすれ違うこと)が基本です。
しかし、何が何でもというわけじゃないです。
「安全であり、かつ実行に適する限り」です。
これに当てはまるなら、狭い水道等の右側端によってください。
ただし、第10条「分離通行帯」の第2項が適用される場合は絶対じゃないです。

英語ではPORT to PORT
動力船は帆船を避けよ!
2 航行中の動力船(漁ろうに従事している船舶を除く。次条第6項及び第18条第1項において同じ。)は、狭い水道等において帆船の進路を避けなければならない。ただし、この規定は、帆船が狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない動力船の通航を妨げることができることとするものではない。
狭い水道等で動力船は、帆船の進路を避けなくてはいけません。
帆船は運転に自由が効きにくいので、道を譲るという海の男の優しさです。
ただし!
帆船は狭い水道等の内側じゃないと安全ではない動力船を、妨げていいわけではありません。
こういうときは逆に優しくしなくてはいけません。
帆船だからいいだろと、このハンデのある動力船の通行を妨げるのはNGです。
ちなみに、ここであげた動力船は漁ろうに従事している船舶は除きます。

彼らには生活が懸かっていますから。
避けてる場合じゃないんよな。
船舶は漁ろう従事船を避けよ!
3 航行中の船舶(漁ろうに従事している船舶を除く。次条第7項において同じ。)は、狭い水道等において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。ただし、この規定は、漁ろうに従事している船舶が狭い水道等の内側を航行している他の船舶の通航を妨げることができることとするものではない。
上の帆船の項と同じようなことです。
狭い水道等で船舶は、漁ろう従事船の進路を避けなくてはいけません。
この船舶とは動力船も帆船も含みます。
今度は生活のかかった漁ろう従事船に道を譲る優しさです。
ただし!
漁ろう従事船は、狭い水道等の内側を航行している船舶の通行をわざわざ邪魔できるほどの権利はありません。
避けてはもらえますが邪魔していいわけではないです。

これを勘違いした漁船の多いこと
ちなみに、ここであげた船舶でも漁ろうに従事している船舶は除きます。
追越し信号というより、追い越したい信号!
4 第13条第2項又は第3項の規定による追越し船は、狭い水道等において、追い越される船舶が自船を安全に通過させるための動作をとらなければこれを追い越すことができない場合は、汽笛信号を行うことにより追越しの意図を示さなければならない。この場合において、当該追い越される船舶は、その意図に同意したときは、汽笛信号を行うことによりそれを示し、かつ、当該追越し船を安全に通過させるための動作をとらなければならない。
狭い水道等で、
ある船が「前を走る船を追い越したい!」というシチュエーションです。
しかも前を走る船が「協力動作をしてくれないと追い越せない!」場合です。

けっこうわがままなパターンね
それでも追い越したい時は、汽笛信号でその意図を表現しなければいけません。
ゴリゴリ行くのは禁止です!!
その表現方法は、(―は長音、・短音の汽笛を表します)
です。
僕はこれを追越し信号ではなく「追越したい信号」と呼んでます。
これを受けた前を走る船は返事をして、その協力動作をしなくてはいけません。
追越しに同意なら同意信号(―・―・)
追越しに反対なら警告信号(・・・・・)
です。
同意した場合は協力動作をとらなくてはいけません。
追い越したい方にスペースを作って、後ろの船を追い越させましょう。
また、操船信号及び警告信号について、ここでは簡単に説明しました。
詳しくは、第34条「操船信号及び警告信号」を参照ください。
内側しか通れない船を邪魔するかもなら横切り禁止!
5 船舶は、狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない他の船舶の通航を妨げることとなる場合は、当該狭い水道等を横切ってはならない。
そのままです。
狭い水道等の「内側しか安全に通れない船」を邪魔するような横切りは危険だから禁止です。
ただし!
狭い水道等を通る船が「別に内側じゃなくても行けるよ」というとき。
これに対してなら、横切り自体は許可されています。
この時はどちらも一般船とみなされるので、第15条「横切り船」が適用されます。

(まぁ実際、妨げちゃう場合は、わざわざ目の前を横切らないのがセオリーですが)
小舟は内側しか通れない船を妨げない
6 長さ20メートル未満の動力船は、狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない他の動力船の通航を妨げてはならない。
これもそのままです。
もう説明もいらないですかね。
何回も出できていますが、
狭い水道等の「内側でなければ安全に航行することができない」動力船。
彼らは針路が縛られてるんです。
その進路を通らないと、危険なんですよ。
だから小舟(20m未満)は小回りが利くという利点を生かし、
妨げないようにしなければいけません。
特例!第2~6項は「互いに他の船舶の視野の内にある」の話!
7 第2項から前項までの規定は、第4条の規定にかかわらず、互いに他の船舶の視野の内にある船舶について適用する。

えーいまさら~。はやく言って~。
この項を読んだときに僕がいつも抱く感想です
いまやっている第9条「狭い水道等」は、
第4条「適用船舶」によると、
第1節「あらゆる視界の状態における船舶の航法」
に属していますが、
特例として!
第2~6項は「互いに他の船舶の視野の内にある」場合にのみ通用します。
でもまぁ考えてみたらわかります。
視界制限状態では何も見えないので、レーダー情報を主にして操船していくことになると思います。
そしてレーダー画面だけでは、その点が帆船なのか漁船なのかなんて区別はつきませんね。
だから、あらゆる状態じゃなくて見えてるときだけね!ということなのです。
他船が死角で見えない時は注意しろ!
8 船舶は、障害物があるため他の船舶を見ることができない狭い水道等のわん曲部その他の水域に接近する場合は、十分に注意して航行しなければならない。
そんまんまです。
言われなくても注意すると思います。
レーダーやVHF、汽笛などを活用することも考えましょう。

自転車や車と同じ、カモシレナイ運転です。
狭い水道等での錨泊禁止!
9 船舶は、狭い水道においては、やむを得ない場合を除き、びょう泊をしてはならない。
狭い水道等で錨泊をしてはいけません。
ただでさえ狭いのに、そこに錨泊船がいたら邪魔になるからです。
ただし、やむを得ない場合を除きます。
例えば、舵が故障したり、機関が故障したなどで操縦不能になったときなどです。

どうしようもないときだね
まとめ
第9条「狭い水道等」をざっくりまとめると
1:安全で実行に適する限り右側通行
2:動力船は帆船を避ける
3:船舶は漁ろう従事船を避ける
4:追越したい信号
5:内側のみ船の邪魔になりそうなら横切り禁止
6:小舟は内側のみ船を邪魔しない
7:第2~6項は「互いに他の船舶の視野の内にある」ときに適用
8:死角のある湾曲部などはきをつけること
9:やむを得ない場合を除き錨泊禁止
以上です!
第2~6項の具体的な船の種類が出てくるものが第7項に縛られてると覚えましょう。
そうすると残った第1・8・9項は覚えることというより、
船員として当たり前のことのように見えるのがわかりますか。
このざっくりまとめ表をよく見て、全体のかたちをつかんでください!
今日はここまで!
コメント